金持ち父さんの こうして金持ちはもっと金持ちになる
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借金は弾の入った銃のようなものだ。 あなたを救うことも、殺すこともできる。

金持ちはいかに借金を利用して金持ちになるのか

1971年、ニクソン大統領がドルと金(きん)の交換を停止した時、ドルは借金になった。これは世界史上最大の経済変化の一つだった。この年、預金する人は敗者となり、借金する人が金持ちになった。

私は世界中の人々と話をするが、しばしばこう質問される。「金持ちはどうやって借金を使って金持ちになるのですか?」分かりやすくするために、私はクレジットカードを例に取って説明する。

あなたが新しいクレジットカードを手に入れたとしよう。その口座にはお金は入っていない。あなたにあるのは信用だけだ。あなたは買い物に行き、100ドルの靴を買う。靴の代金をクレジットカードで支払うと、あら不思議、100ドルのお金が創造される。同時に100ドルの借金も生まれる。私たちの経済に100ドルのお金が流れ込み、皆がハッピーになる。

問題は、あなたが働いてこの100ドルの借金を返さなければならないことだ。

 

 100ドルの借金を返せる私の能力が100ドルを生み出したわけか? 私の借用証書、支払うという約束が100ドルを創造したということか?

 そうだ。

 

 つまり、100ドルは借金、私の約束だということか? 私の借用証書以外の何者でもないのか?

 その通り。

 

 私は無からこの100ドルを作ったのか?

 理論的にはそうだ。

 

 だからクレジットカード会社は私にもっとクレジットカードを作るよう勧めるわけか?

 まったくその通り。

 

 なぜそんなことをする?

 色々な理由がある。

 

ひとつは、あなたや私が借金することでお金を創造すると、経済が成長するからだ。逆に借金を返すと経済は縮小する。もうひとつの理由は、借金が金持ちをもっと金持ちにするからだ。借金が金持ちにお金をもたらさないなら、彼らはあなたにクレジットカードなど発行しない。

金持ちはあなたが好きだからカードをくれるのではない。彼らが与信枠をくれるのは利息によって自分たちが儲かるからだ。あなたがカードの借入れ残高に対し、毎月定められた最小額を返済するだけでも彼らの儲けはそれ以上になる。

 

 政府が金持ちにクレジットカードの発行を許しているのは、経済の発展と雇用の創造を望むからか?

 そういう理屈だ。クレジットカードの利用者の場合と同じ理由で、銀行は国家に借金を返してほしいとは思っていない。ギリシャやプエルトリコ米国自治連邦区のような国は破産の危機に瀕している。これは彼らが「最低限の利子」の支払いさえもできなくなることを意味する。銀行はこれらの国々が債務を「再構築」することを許すだろう。再構築とは、借金を借り換えること、つまり銀行がもっと金を貸すことだ。これによって彼らは利子の支払いを続けていける。

 

 銀行は彼らにさらにお金を貸す。そして彼らは「最低支払額」が払えるということか?

 そうだ。彼らは実際そうしている。

 

Q だからクレジットカード会社は最低支払額だけ要求してくるのか? 私が借金をすべて返済してしまわないように?

 その通りだ。あなたが払う最低支払額は入居者が家賃を払うようなものだ。クレジットカードの負債は決して完済されず、入居者が住んでいる家やアパートを自分のものにすることは決してない。月々の家賃が不動産投資家に利益をもたらすように、あなたのクレジットカードの最低支払額は、金持ちをもっと金持ちにするのだ。

 

無から生まれるお金

クレジットカードで靴を買う例えでは、何もないところから100ドルが生み出された。クレジットカードを利用すると、100ドルは金持ちの資産となり、カードを持つ中流層や貧困層の負債となる。

 

 では金持ちになりたければ借金を使って儲ける方法を学ぶ必要があると?

 そういう理屈だ。だが借金には十分注意する必要がある。借金を使って金持ちになるにはファイナンシャル教育が必要だ。

 

借金というのは諸刃の剣だ。借金はあなたを金持ちにするが、突然状況が変わればとても貧しくしてしまう。2007年に不動産市場が暴落した時に起こったのがこれだ。

数百万の人々が、住宅の資産価値が上昇したおかげで自分は金持ちだと信じ、それをATMのように使って金を引き出していた。そこに市場暴落が起こり、彼らは足元をすくわれた。負債は家の価値を上回った。たった一晩で彼らは貧しくなったのだ。多くの人がすべてを失った。

キムと私がキャッシュフローを学ぶためのボードゲームを作ったのもこれが理由だ。それは、プレイヤーが借金を使ってゲームに勝つ、唯一のファイナンシャル教育ゲームだ。

 

 実際にお金を儲ける前に、ゲームで借金の使い方を学んでおけということか?

 そうだ。忘れてはならないのは、借金は危険だということだ。借金は弾の入った銃のようなものだ。銃はあなたを救うことも、殺すこともできる。

 

企業もCEOも借金を活用している

私が「借金を使って資産を買った」と言うと、多くの人は「それは危険だよ」と言う。彼らはクレジットカードを使って100ドルの靴のような負債を買うことは何とも思わないのに。

世界一裕福な企業のひとつ、アップルは銀行に手つかずの現金2460億ドルを持っている。にもかかわらず金利が低いこともあって、同社は過去数年間に数億ドルの借金をしている。なぜアップルは借金をするのか? 海外にある金を本国に戻し、米国政府に税金を取られるよりも、負債を抱える方がコストが安いからだ。

多くの企業のCEOは現金よりもストックオプションで報酬をもらっている。このため、CEOたちは借金をして自社株を買う。株価が上がればCEOや幹部たちは持っていた「オプション」を高値で売り、もっと金持ちになる。だがそれは、従業員や株主たちの損失になる。1970年代以降、多くのCEOが、借金をして会社を成長させ雇用を創り出すよりも、借金で投機をする方を選んでいるのだ。

(『金持ち父さんの こうして金持ちはもっと金持ちになる』より抜粋)

書籍データ

金持ち父さんの こうして金持ちはもっと金持ちになる
概要金持ちになるためには何を考え、どのように行動すればいいのか。『金持ち父さん貧乏父さん』の原著出版から20年、エッセンスをまとめ進化したシリーズ上級版。 これは学校では教えないお金の知識についての本だ。金持ちがもっと金持ちになる理由は、本当のファイナンシャル教育にあった。それは、「学校に行って仕事に就き、懸命に働いてお金を貯め、家を買い、借金を返し、株式に長期投資する」という、かつてのおとぎ話とはまったく異なるものだ。本書は『金持ち父さん 貧乏父さん』の大学院版であり、あなたが今後生き残り、経済的に成功したいなら、この本が役に立つだろう。
タイトル金持ち父さんの こうして金持ちはもっと金持ちになる
サブタイトル本当のフィナンシャル教育とは何か?
著者名ロバート・キヨサキ
出版社筑摩書房
刊行日2017年10月20日
判型A5判並製
頁数288
定価本体価格1600円+税
ISBN978-4-480-86456-7